【福岡県みやま市】竹飯八幡宮
普通私たちのみる鳥居は笠木が全体的に曲線になっていますが、肥前型では両端だけが曲線となっており島木と貫の間が狭くて、笠石はずん胴で、二段あるいは三段の継目をもっています。基礎部分も台座をもたず掘っ立て式になっているのが特徴です。
筑後地方には、北野天満宮石造鳥居(県指定)、水田天満宮石造鳥居(県指定)、三島神社石造鳥居(柳川市指定)、玉垂神社の鳥居(みやま市指定)等の肥前型鳥居があって、それぞれ有形文化財として指定されています。
この鳥居は当地における唯一の肥前型鳥居で材質は杵島地方の安山岩です。肥前には硯川の石工が有名ですが、残念ながら石工名及び、造立紀念銘はなく、いつだれが作ったのかは明らかではありません。竹井城の祈願神社としての性格をもっている八幡宮であることから田尻氏の寄進とも考えられています。
楼門
竹飯八幡宮のイチイガシ
竹飯八幡宮のイチイガシは応神天皇、武甕槌神、住吉三神を祀る八幡宮境内に神木として聖母堂前と本殿横に二本あります。
樹勢は二本とも旺盛ですが、聖母堂前の樹の方が大きく枝も張り広がっています。
平成三年度の調査時はそれぞれ聖母堂前の樹の樹高約27m、幹回り4.3m、本殿横の樹は、樹高約15m、幹回り3.6mを測り、樹齢は二本とも約300年と推定されました。
イチイガシはブナ科の常緑高木、雌雄同株で花期は四月から五月頃、果実は長さ2㎝、径1・5~2㎝のどんぐりで、老木になると樹皮がはげて波状の模様がでます。
本州(関東南部以西)、四国、九州、済州島、台湾、中国に分布します。
イチイガシ
竹飯稚児風流
この風流は新暦の十月十日、竹飯八幡宮大祭の宮入り行事(神幸祭)に奉仕します。
稚児風流の由緒は定かではありませんが、古老の言い伝えによりますと、旧柳川藩時代、村の青年たちが、田植えが終わって氏神に詣でて、東竹飯、西竹飯に分かれて田圃を鉦や太鼓を打ち鳴らし、稲虫、風除けの祈願としたのに始まる、と言われて、明治時代になって、秋祭りの神幸祭に奉仕するようになりました。
風流とは、「浮立」とも書き、太鼓・鉦を打ち鳴らしながら道を練り、群舞します。仮面・仮装で飾るものが多く、災厄しずめ、また豊作を祈って踊る、民俗芸能です。
竹飯の風流は、名前の如く子供のみで行うところに特色があります。頭にシャグマ(赫熊)を被り、女性用の和服姿に化粧をし赤青のタスキを掛け、前垂れ、手甲、脚絆に草履掛けで、鉦に合わせて、身振り手振りよろしく大太鼓を廻し打ちするのです。太鼓の打ち方は『ソンジャホイ』『ドンデンガイガイ』『カカサンカカサンカカサンバイ』等があり座組の大人が指導し鉦は大人が拍子にあわせて叩きます。
大祭前日の夕方から始まる「よど祭」(前夜に行う夜宮祭)と当日の「宮入り」に、座元から行列しながら風流を披露します。
当日お宮に到着した稚児たちは、境内で叩いて舞いながら、五穀豊穣、悪病退散、稲虫除けなどを祈願し、稚児風流太鼓を披露します。
境内社の聖母堂
拝殿
本殿