【福岡県飯塚市】小正西古墳
小正西古墳
小正西古墳は宅地造成に伴い、穂波町教育委員会(現飯塚市)が平成8年~9年に発掘調査を実施しました。
古墳は全体的に掘削を受けていましたが調査の結果、墳丘の1/4が残り、南側で約2mの高さに幅2mのテラス(平坦部)を有する二段築城の円墳ということが判りました。テラスより上位の急斜面には葺石が施され、テラス端部には密な状態で円筒(朝顔形)埴輪が整然と立てられていました。
1号石室は盗掘を受けていましたが、調査中に未盗掘の2号石室が発見され、大漁の鉄製品や玉類等の副葬品が出土しました。
小正西古墳の特徴は①1墳丘に2基の石室、②2基の石室の主軸がほぼ直交、③同時墓、④同時構築でありながら規模に大きな差がある等があげられ全国的に類例の少ない貴重な古墳です。石室の規模、構造、出土遺物などからこの古墳の被葬者は、当地区を要とした周辺地域を治めてた首長クラスの墳墓と考えられます。
周溝
周溝とは、古墳の墳丘の廻りに彫られた溝のことです。小正西古墳では、後世の削平のためか全周せず、東側で全周の約1/2、幅1・5m前後、深さ約50㎝が確認されました。1号石室前面では周溝が途切れ、石室への進入路として橋状を呈していたと考えられます。周溝から円筒(朝顔形)埴輪の破片が大量に出土し、一部形象埴輪だけが集中する箇所もありました。
石室入口
2号石室
墳丘調査中に偶然発見された横穴式石室で長さ2・6m、幅0.7m~1.3mを測り、1号石室に比べ小型ですが平面形は同様に羽子板形を呈しています。未盗掘であったため大量の鉄製品や装身具などの副葬品のほか4体分の人骨も検出されました。
主な出土遺物
銅鏡(珠文鏡)、鉄刀、鉄鏃、鉄刀子、鉄鉋、鉄鑿、鉄鋸、水晶製勾玉、瑪瑙製勾玉、石炭製算盤玉、ガラス玉等
2号石室内部
古墳名 | 小正西古墳 |
住所 | 福岡県飯塚市小正 |
築造年代 | 古墳時代後期 |
型式 | 円墳 |
大きさ | 墳径33m(周溝を含む)、墳高5.5m |
石室 | 横穴式石室 |
駐車場 | 有 |
備考 | 公開日のみ見学可 |