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【福岡県嘉麻市】山野の庚申塔

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六十一日目に回ってくる庚申の日の晩に、組内の人びとが集って徹夜する風習がある。これを庚申信仰といい、無病息災・延命長寿・五穀豊穣を祈っての行事である。ここの石塔群は、昔は村の出入口や三差路に立てられていた。道の分岐点や交差点は、災いが集まる所と信じられ、そういう所や村の出入口に立てて、災いが村に及ぶことを防ごうとしたのである。この神を塞神といい、庚申信仰と結びついて庶民の間に広がった。猿田彦大神は道案内の神とされるが、道祖神として塞神や庚申信仰と結びつき、嘉穂地方での造塔は元禄の(1700年)頃から始まり、庚申塔の主流になった。庚申塔造立には種々のきっかけがあろうが、庚申の会を十八回終えると、満願成就として立てられることもあった。ここに並んでいるのは、明治年間、政府の政策によって神社などに集められたものであるが、庚申塔は江戸時代以降の庶民信仰を証明する貴重な文化財である。なお、ここの石塔は他地に比べて大きい。
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